マンションの大規模修繕にかかる費用は?安く抑えるコツ・お金が足りない場合の対処法
「マンションの大規模修繕にはどれくらいの費用がかかるの?」
「修繕費用を抑えるためにはどうすればいい?」
こういった疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。
マンションの資産価値を守るために必要な大規模修繕ですが、金銭的な負担は小さくありません。
この記事では、国土交通省の資料も参考にしながら以下のことを解説します。
- マンションの大規模修繕にかかる費用
- 工事内容ごとの費用の目安
- 大規模修繕費用を抑える方法
- 費用が不足したときの対処法
上記を把握しておけば、マンションの大規模修繕の際に費用の面で苦労することが少なくなるはずです。
マンションの大規模修繕にかかる費用の目安は?
国土交通省の調査によると、大規模修繕にかかった戸あたりの費用の割合は次のようになります。
- 戸あたり50〜75万円:8%
- 戸あたり75〜100万円:6%
- 戸あたり100〜125万円:7%
参考:国土交通省『マンション大規模修繕工事に関する実態調査』
大規模修繕の回数を追うごとに、戸あたりの金額は小さくなる傾向にあります。
よって、1、2回目の修繕なら戸あたり75〜125万円、3回目以降なら戸あたり50〜100万円が目安です。
マンションの大規模修繕にかかる費用の内訳は?
上記で紹介した国土交通省の調査はあくまで目安です。
どんな内容の工事をするかによって、金額は変わります。
実際の修繕や修繕以外の作業なども含め、マンションの大規模修繕で主な費用項目となるのは次の8つです。
- 事前調査
- 仮設工事
- 下地補修
- 外壁塗装
- 防水補修
- シーリング補修
- 給排水管補修
- その他諸経費
以下で、それぞれについて解説します。
事前調査
戸あたり5,000〜10,000円
劣化度合いなどを見て「どこをどう修繕するか」を決める作業が事前調査です。
建物診断・劣化診断とも言われます。
戸数が多いほど戸あたりの費用は安くなる傾向にあります。
100戸以下なら戸あたり10,000円、100戸以上なら戸あたり5,000円程度が目安でしょう。
仮設工事
総費用の約20%
足場や仮設事務所など工事の準備で、総費用の2割を占めると言われます。
総額が戸あたり100〜125万円なら、仮設工事の費用は20〜25万円程度です。
下地補修
Uカットシール工法:平方メートルあたり1,500~2,500円
爆裂補修:箇所あたり1,000~2,500円
外壁のコンクリート・モルタルのひび割れなどを補修する工事です。
マンションの耐久性や見た目の良さを保つために必要になります。
外壁塗装
総費用の約20%
外壁を塗装し直すことで、見た目を良く保つだけでなくマンションを雨風から守ることもできます。
塗料の種類にもよりますが、平方メートルあたり3,000〜7,000円が目安です。
防水補修
総費用の約20%
屋上・ベランダ・共用廊下など、雨にさらされる部分の防水加工を補修する工事です。
ウレタン防水・アスファルト防水など工法の種類によりますが、平方メートルあたり4,000〜8,000円が目安になります。
シーリング補修
打ち増し:メートルあたり600〜900円
打ち替え(交換):メートルあたり800〜1,200円
窓と外壁の境目などに詰められているゴム材を補充する工事がシーリング補修です。
雨風によって経年劣化するので、防水性を保つために修繕します。
給排水管補修
総費用の約10%
給排水管の経年劣化に対しても行う補修です。
洗浄だけでいいのか交換する必要があるのかは、事前調査でわかる劣化度合いによって決まります。
初回の大規模修繕など、洗浄のみで済む場合には総費用の5%程度にとどまることがほとんどでしょう。
その他諸経費
直接工事費用の約10〜15%
工事費用の10〜15%程度が人件費などの諸経費としてかかります。
防水補修や外壁塗装などの直接工事費が合計2,000万円であれば、200〜300万円ほどが諸経費として必要になります。
マンションの大規模修繕費用を抑えるためのポイント
費用を抑えるためのポイントは、次の2つです。
- 管理会社に丸投げしない
- 複数業者から見積もりをとって比較する
以下で、それぞれについて解説します。
管理会社に丸投げせずコンサルタントなどへの依頼を検討する
管理会社に依頼すれば施工会社を紹介してくれます。
しかし管理会社は中間マージンを大きく取る傾向にあるため、費用が高くなってしまいがちです。
コンサルタントでも約10%の手数料が必要ですが、管理会社に比べると安く抑えられます。
より費用を抑えるなら、コンサルタントも通さずにマンションの修繕委員会で全てを担うことも可能です。
ただし工事設計など専門的な知識が必要な作業も多く時間もかかるため、負担はかなり大きくなるでしょう。
複数業者から見積もりをとって比較する
複数の施工業者から見積もりをとって比較すれば、2割ほど費用を抑えられる場合がほとんどです。
同じ修繕内容なのに1,000万円多く払っていた、ということも避けられます。
逆に見積もりが安すぎる業者の場合でも、手抜きの可能性もあるので注意が必要です。
5〜10社ほど見積もりを取って、項目ごとに1社ずつ見比べると適正価格かどうか判断しやすくなります。
マンションの大規模修繕で費用が不足したときの対処法
費用が不足したときの対処法には、次の4つがあります。
- 工事内容・工事時期を見直す
- 地方自治体の助成金を利用する
- 住民から一時金を徴収する
- 銀行から借入を行う
以下で、それぞれについて解説します。
工事内容・工事時期を見直す
今回の工事で修繕する必要があるのか検討し直してみましょう。
延期できる項目が見つかれば、今回の修繕ではその分費用を削減できます。
地方自治体の助成金を利用する
自治体によっては、大規模修繕の費用を一部負担してくれる助成金制度があります。
(公財)マンション管理センターがまとめた資料があるので、対象となる助成金があるか確認してみましょう。
住民から一時金を徴収する
計画の見直しや助成金でも不足分を補えなければ、住民から一時金を徴収する手もあります。
ただし当然不満も出てくるため、管理組合総会では必ずしも可決されません。
銀行から借入を行う
銀行や住宅金融支援機構から借入を行うこともできます。
返済は必要なこと、断られる可能性もあることは念頭に置いておきましょう。
賢く費用を抑えながらマンションの大規模修繕をしよう!
マンションの大規模修繕は、資産価値を守ったり長く快適に住める状態を保ったりするために必要です。
しかし知識が不十分だと費用の面で失敗することも考えられます。
賢く費用を抑えながらマンションを大規模修繕しましょう。
マンションの費用だけではなく工期やコツも知りたい場合は「マンションの大規模修繕におけるコツや費用・工期を解説!」をチェックしてみましょう。