マンションの大規模修繕におけるコツや費用・工期を解説!

 

マンションやビルなどの高層建築にとって、定期的に必要となる大規模修繕工事。

長期的に安心して暮らすために、大切な工事であることは間違いありません。

 

しかし建築のプロでもない一般の住人にとって、大規模修繕工事がどのようなものなのか、

わかりにくいものです。

 

「今の状況で大規模修繕工事は本当に必要なの?」

「大規模修繕工事の委員を頼まれたけれど分からなくて困っている」

「大規模修繕工事をどんな業者に発注すればいいのか分からない」

 

このように悩まれている方も多いのではないでしょうか。

 

そのような方に向けてこの記事では、以下について詳しく解説しています。

 

大規模修繕工事の具体的な内容や必要性と費用

・大規模修繕工事をする適切な時期や根拠

・大規模修繕工事で失敗しないためのポイント

 

大規模修繕工事について疑問を感じているのであれば、ぜひ最後まで目を通してみてください。

 

大規模修繕工事の基本と目的を知ろう

 

大規模修繕工事とは、マンションやビルの老朽化防止と維持を目的に、

計画的におこなわれる修繕のことです。

多くは10~20年に一度の頻度で実施され、多額の費用をかけておこないます。

 

マンションなどのビルを長持ちさせるためには、屋上の防水や

外壁・配管などのメンテナンスが欠かせません。

 

大規模修繕工事は大切なマンションを物理的に、

また資産として守っていくために必要な工事なのです。

 

ところで、分譲マンションは住人全員で管理することが、

法律で定められていることをご存じでしょうか。

そのため、多くの分譲マンションでは管理組合が設けられています。

 

分譲マンションの大規模修繕工事は管理組合が主体となり、

計画的におこなわれるのが一般的です。

 

大規模修繕工事が定期的に必要な理由

分譲マンションでは12年に1度、大規模修繕工事を実施するケースが多いです。

 

それでは、なぜ大規模修繕工事は定期的に実施する必要があるのでしょうか。

以下ではその理由を解説します。

 

紫外線などによって経年劣化する

マンションを劣化させる大きな原因のひとつが、太陽光線による紫外線です。

屋上や外壁は1年中太陽光線にさらされているので、毎日ダメージが蓄積していきます。

年月の経過だけで大きな劣化を引き起こすので、無視できません。

 

たとえば紫外線に長時間さらされた塗装は、塗膜がはがれ、タイルにはヒビが入りやすくなります。

さらに放置すれば、内部のコンクリートまで浸食され、最後は水漏れが発生するでしょう。

 

また、屋上の防水処理は耐用年数が長めですが、それでも紫外線による劣化は雨漏りの原因になります。

このような塗装やタイル、防水処理などは一斉に補修する必要があるため、

定期的な大規模修繕工事が必須なのです。

 

マンションの資産価値を守る

まず確認しておきたいのは、ここで言う「資産価値」は「市場価格」とほぼ同じ意味だということ。

定期的な大規模修繕工事は、マンションの「資産価値」=「市場価値」が急落する事態を防ぎます

 

言いかえれば、大規模修繕工事は「資産価値を最低限守る工事」ともいえるでしょう。

タイミングを逃したり不適切な工事をおこなったりすると、資産価値の低下につながりかねません。

 

大規模修繕工事の適切なタイミングについてものちほど解説していますので、

ぜひ確認してみてください。

また、大規模修繕工事は「資産価値」を上げると誤解している人がいますが、間違いです。

どんなに高級なマンションでも、築年数の経過とともに資産価値は下がります。

 

大規模修繕工事は、あくまでも適切な資産価値を維持するための工事であると、

認識しておきましょう。

 

費用不足や回復不能な状態を予防する

定期的な大規模修繕工事は、さまざまなトラブルが起こるリスクをおさえることができます。

 

メンテナンスを実施しなかった場合、予想外の傷みや突発的な修繕が必要なケースが増えます。

工事をするたびに費用が必要となり、修繕費を確保できないケースも出てくるでしょう。

修繕費の不足を理由に工事を先延ばし、さらに修繕が必要になるなど、悪循環に陥るケースも。

 

こうなると取り返しのつかない傷みが発生し、最悪の場合はマンションには住めなくなる

可能性があります。

分譲マンションの管理組合において計画的に大規模修繕工事をするのは、

合理的な方法といえるでしょう。

 

大規模修繕工事の種類と必要となる周期

大規模修繕で実施される工事には、以下のような種類があります。

 

 

それぞれの工事は耐用年数が異なるので、工事が必要なタイミングが同じになるとは限りません

そのため大規模修繕工事では、工事時点で必要な工事のみを組み合わせて実施します。

以下では大規模修繕工事の種類と、それぞれの工事に関して詳しく解説します。

 

屋上防水工事

屋上防水工事では、マンションの屋上はもちろん、

バルコニーやベランダにも同時に防水処理の工事をおこないます。

 

防水処理の劣化部分があると漏水して部屋の中へ雨漏りが起きます。

また、鉄筋コンクリート内部まで漏水すれば、取り返しのつかないダメージになりかねません。

建物の寿命を長くする観点からも、定期的な屋上防水工事は優先順位の高い工事といえます。

 

屋上防水工事には多くの工法や材料があり、それによって工期や費用・耐用年数が変わります。

詳しく知りたい場合には、近くの専門業者へ確認してみましょう。

 

外壁工事

外壁工事では、外壁の工法や材料に合わせて、塗装や補修をおこないます。

マンションの住人にとっては目につきやすく、見栄えをよくする重要な工事といえるでしょう。

 

もちろん見栄えだけでなく、マンションの躯体を守り、寿命を延ばすためにも必須の工事です。

具体的には、下地補修・処理工事をおこない、そのうえでタイル補修や塗装をおこないます。

外壁工事で注意しなければならないのは、ほとんどのケースで足場が必要になることでしょう。

 

足場のメッシュシートはマンション全体を覆うため、自然光が入らず暗くなります。

また、塗料の臭いが漂うので、換気や屋内で洗濯物を干すなどの対応が必要です。

 

給排水管工事

水道水を各家庭に運ぶ給水管と、生活排水の通り道である排水管の工事には、以下の3種類があります。

 

  • 高圧洗浄
  • 給排水管更生工事
  • 給排水管取り替え

 

「高圧洗浄」は、専用の機械によって管の中を清掃する方法で、

高圧力の水を噴射する方法が一般的でしょう。

最近ではさらに洗浄力の高い「圧縮エアー洗浄工法」も普及しています。

 

「給排水管更生工事」とは、ひとことでいえば既存の排水管を回復・延命させる工事のこと。

具体的には、まず古くなった配管の内部に研磨剤を流して綺麗にし、

そのうえでパイプ内部を塗装します。

 

「給排水管の取り換え」工事は、新しい管に取り替えることです。

マンションでは築30年が交換の目安になるでしょう。

 

鉄部塗装工事

鉄部塗装工事が必要なのは、マンションの共有スペースにある鉄製の部分や、

玄関扉、枠などです。

 

具体的には錆や傷、塗膜の剥がれをきれいに下地処理した後、再塗装していきます。

マンションを構成する部材の中でも鉄部は劣化しやすく、修繕の頻度が高い部位といえるでしょう。

また、海沿いなど潮風が届く土地にあるマンションでは、さらに錆などの劣化は早まります。

 

建具・金物工事

建具・金物工事には、

玄関扉や窓のアルミサッシ、表札、郵便受け、窓の格子、金属手すりなどの交換が含まれます。

 

これらの部位は傷みが軽度なうちは、鉄部塗装などの補修で対応できます。

しかし30年を超えれば、交換を検討する必要が出てくるでしょう。

多くの場合は2回目以降の大規模修繕工事から、必要部分の交換をしていきます。

 

各種設備の更新工事

各種設備更新工事とは、マンション内にある様々な設備を、

耐用年数に合わせて新しいものと交換する工事です。

 

共有部であれば、エレベーターや駐車場設備、電気設備、通信設備、

消火や防災設備などが対象になるでしょう。

各住居ではインターホン・排気設備・給湯器などの取り替えが必要です。

 

大規模修繕工事にかかる費用相場や工期

 

分譲マンションの大規模修繕工事で最も気になるのは、費用相場と工期でしょう。

以下は、分譲マンションの大規模修繕工事の費用相場と工期の目安の一覧表です。

 

 

上の表では1戸当たりの費用を記載しています。

大規模修繕工事で必要な総費用の目安は、ご自分のマンションの戸数を乗じて計算してみてください。

例として、築12年・45戸のマンションの大規模修繕工事の総費用を計算してみましょう。

 

1戸あたり70~110万円×45戸=合計3,000~5,000万円

 

大規模修繕工事は通常、築年数が経過するほど取り替えが必要になる部位が増えます。

そのため、回を重ねるごとに必要な費用が大きくなる傾向にあります。

 

大規模修繕工事の適切なタイミングや周期は何年?

結論からいえば、大規模修繕工事の周期はケースバイケースであり、正解はありません。

しかし、雑誌や専門サイトなど多くの媒体で「12年に一度の大規模修繕工事が必要」

説明されています。

 

一方で、15年~20年に一度のタイミングで大規模修繕工事をおこなうマンションが

多く存在します。

このような状況では、大規模修繕工事のタイミングに悩むのは当然といえるでしょう。

以下では、大規模修繕工事の適切な周期を決めるために、必要なポイントを解説します。

 

なぜ12年周期と言われているのか?

12年周期が推奨されるようになった背景には、国土交通省が発表した文書の存在があります。

 

国土交通省が発表した書類とは「長期修繕計画作成ガイドライン」。

文書中では数回にわたり、大規模修繕工事の周期のたとえとして「12年」という言葉が出てきます。

しかし、あくまでたとえであり、大規模修繕工事を12年周期でおこなうようにすすめる

表現はありません。

 

それでも国土交通省の文書の発表以降、12年という周期がまるで常識かのような認識が

広まってしまいました。

 

実際には状況に合わせて周期を決める

よく考えてみれば、この世にまったく同じマンションというものは存在しません。

それは立地条件や施工のクオリティ(業者の質)、建物が置かれている状態などは、

必ず違うからです。

 

仮に同じメーカーが同じ仕様で建てたマンションであっても、

経年劣化の部位や程度には差が出るでしょう。

さらに、大規模修繕工事に向けた計画や積立金の額などの状況も、管理組合によって違います。

 

このように状況が違うにもかかわらず、一律に12年周期と決めるのはナンセンスといえるでしょう。

劣化の具合や予算に応じて、大規模修繕工事の周期はケースバイケースで決めることが大切です。

 

大規模修繕工事の頻度を決めるのはだれ?

実は大規模修繕工事を12年周期で実施するように推奨したのは、大手マンション管理会社です。

先ほどご紹介した国土交通省の文書を根拠として、業界全体で12年周期をすすめてきたのです。

 

こうして大規模修繕工事は12年周期という常識が定着しました。

ところが工事の周期は、業者側の都合で推し進められたということは、ぜひ知っておきましょう。

 

具体的には以下の理由があります。

 

  • 12年周期を前提にビジネスモデルを作った
  • 15年や20年周期では仕事が減る
  • 業界全体が大手の会社に合わせて動く

 

12年周期であれば経営計画を立てやすい、大手に合わせるという仕組みを変えたくないといった

考えが背景にあるのではと推測できます。

 

もちろん、マンションの劣化を防止し寿命を延ばすために、

早めの修繕自体は悪いことではありません。

しかし修繕が不要な段階にもかかわらず、

「12年目だから」という理由で工事をしているケースも多く存在します。

 

このような事態を避けるためには「誰に相談して決めるか」がとても重要です。

具体的には「工事では儲からない人」や「しがらみの少ない人」が適任といえるでしょう。

例として、個人コンサルタントやマンション診断士などがそれに当たります。

 

大規模修繕工事の頻度は、管理会社や施工業者に惑わされず、

信頼できる人とともに管理組合で決めましょう。

 

大規模修繕工事の流れ【準備から完了まで】

 

大規模修繕工事には多くの工程があり、なかなか全体像が見えにくいものです。

以下では、管理組合から見た大規模修繕工事のおおまかな流れを表にしています。

 

 

大規模修繕工事で失敗を防ぐポイント

 

大規模修繕工事は素人には分かりにくい部分が多く、プロセスが複雑です。

しかしほとんどのマンション管理組合は素人で構成されています。

 

業者や専門家と対等に交渉するためにも、ある程度の知識を備えることは必須といえるでしょう。

以下では、大規模修繕工事でのトラブルや失敗を避けるために、必要な知識をお伝えします。

 

発注方法の種類と違いを知っておく

大規模修繕工事の準備段階では、一緒に取り組む専門家や業者を選ばなければなりません。

この時、どの業者や専門家に依頼するかによって、発注方法や工程が変わります。

まず知っておきたいのは、大規模修繕工事には大きく分けて3つの段階があるということです。

 

  • 診断・検査
  • 設計
  • 工事

「診断(検査)」「設計」「工事」を実施する専門家や業者に着目すると、

それぞれの違いが分かりやすいです。

以下では代表的な4つの発注方法を一覧表にしていますので参考にしてください。

 

 

業者選定では知り合いや縁故関係を避ける

管理組合の中には、建築会社に知り合いや親戚がいる組合員がいる場合があります。

「信頼できそう」という理由で、知り合いの業者を選んでしまう事態になりやすいのですが、

おすすめはできません

 

縁故関係を避けるべき理由は以下です。

 

  • 「知り合いだから安くできる」だと手抜きの心配がある
  • 知り合いだからと逆に高い金額を提示するケースがある
  • トラブルがあった際は紹介者に責任の重圧がかかる

 

公平・中立な業者選定は、良質な大規模修繕工事を完了するためにとても大切な要素です。

管理組合にとっても業者にとっても、結局はしがらみが無いほうが、気持ちのよい関係を築けます。

 

まとめ:大規模修繕工事は適切な周期と費用で

 

大規模修繕工事の主体は、あくまでも住民が組織する管理組合です。

管理会社や施工業者にとっては、自分が住むマンションではありません。

管理組合には、自分たちが住むマンションの大規模修繕工事は、

自分たちでおこなうという気持ちが大切です。

 

この記事では不適切な費用や工事、工事周期を避けるための最低限の知識を解説しました。

修繕積立金を効果的に使い、マンションの資産価値を維持するためにも、

パートナー選びは慎重におこないましょう。

 

マンションリフォームの費用相場や安くする方法は以下でも解説しています。チェックしてみてください。

マンションリフォームの費用相場を内容別で紹介!工事費を安くするコツとは

 

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